子ども名義の財産がある場合

財産分与の対象をリストアップする際に、子ども名義の銀行預金や保険などが気になられる方も多いのではないでしょうか。

子どもの将来のために子ども本人の名義で預金口座を作ったり、保険に入っているケースはよくあります。

これらの子ども名義の財産についてですが、それが婚姻中に夫婦の協力によって形成された財産といえるものは、財産分与の対象となると考えられています。

例えば、婚姻中に夫婦の一方の給与収入などを、将来の教育費の備えなどのために子ども名義で銀行に預金している場合、これは夫婦の協力によって形成された財産といえるので、財産分与の対象と考えることができます。

具体例

年齢:10歳
名義:子ども本人
管理:親
金額:150万円
名目:教育資金
原資:夫の給料

このような場合、10歳の子ども本人が150万円を自由に使うことができるとするには高額であり、子ども自身がその口座のお金を実際に入出金していないことからすれば、たとえ子ども名義であっても子ども本人のものとは考えづらく、夫婦の共有財産といえるため財産分与の対象となると考えられています。


一方で、子どもに贈与したことが明確な場合は子ども自身の固有財産であり、また、夫婦の合意によって財産分与の対象としないと決めたものについても除きます。

よくある例としては、子ども本人が親族などから貰ったお年玉やお祝い金などは、子どもの固有財産であり、財産分与の対象とはならないと考えるのが一般的です。

法人名義の財産がある場合

夫または妻が会社を経営している場合、その法人名義の資産について争いとなることがありますが、原則として、法人名義の資産は財産分与の対象とはなりません。

具体的には、家族経営の会社で夫が経営者であり妻も会社の手伝いをしていたような場合、夫婦の協力によって形成した会社の法人名義で保有する不動産や株式は財産分与の対象となるのかが問題となり得ます。

先述したとおり、法人名義の資産は財産分与の対象から除きますが、法人の実態が個人事業と変わりがなく、実質的に夫婦の財産といえるような場合には、例外的に財産分与の対象として認められた例も裁判例もあります。

要するに形式的には法人の資産であっても、実質的にみて個人事業と同等であるととれるのかなど、実態がどのような状態であるのかが判断材料となり、ケースバイケースといえます。

一方で、個人事業であってもそのすべてが財産分与の対象となるわけではなく、事業用財産は事業の規模・態様によって財産分与の対象となる・ならないが判断されることとなります。