財産分与を受ける側の場合

 財産分与に基づき支払われた現金については、原則として課税されません。

これは、財産分与により取得した財産は、夫婦が婚姻中に有していた実質上の財産を清算分配するという清算的要素と離婚後における一方の当事者(多くの場合は妻)の生計の維持をはかるという扶養的要素からきているものと考えられているからです。

ただし、例外となり贈与税が課される場合があることに注意が必要です。

ここで考えなければならない例外とは、財産分与により受け取った金額が①婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額、その他一切の事情を考慮してもなお過大であると認められる場合、②贈与税もしくは相続税を支払わないくてすむようにするため形式的に離婚するような場合です。

 ①の場合、その財産が過大であるかどうかは、婚姻中に夫婦が協力して蓄積した財産として妥当性があるかどうか等によって判断されます。

②の場合、離婚して別々に住んでいるように見せかけていても、実態は離婚後も離婚前と同様の夫婦生活を送っているケースが該当します。

※離婚に関する税金について詳しく知りたい方は税理士へご相談ください。

財産を分与をした側の場合

 財産分与に基づき財産を分与した場合、分与した財産が現金であるときは課税関係は発生しませんが、分与した財産が現金以外の資産の場合には譲渡所得税が発生することがあります。

自宅不動産を譲渡する場合、その譲渡所得金額から3,000万円を控除することができますが(税特措35)、この特別控除を受けるには居住要件等いくつかの条件があります。

また、譲渡所得金額の3,000万円を超える部分には、譲渡所得税が発生することになります。

税額の計算については、長期譲渡所得に対する軽減税率が適用されるかどうかや、特殊関係者に該当しないか等の専門的な判断が必要となりますので、持ち家を配偶者に分与しそれによる譲渡所得が3,000万円を超えそうだといった場合は予め税理士にご相談いただくことをお勧めいたします。

 原則として分与する財産の価額(評価額)が分与時において、取得価額以下である場合には、譲渡所得税は課税されません。取得価額を上回る場合のみ譲渡所得税が発生することになります。

不動産の取得価額5,000万円(土地3,500万円、建物1,500万円)

<ケース1>財産分与時の評価額が4,000万円の場合
4,000万円ー5,000万円=▲1,000万円 →譲渡所得なし

<ケース2>財産分与時の評価額が6,000万円の場合
6,000万円ー5,000万円=1,000万円 →譲渡所得が発生する
譲渡所得=1,000万円
3,000万円の控除を適用