養育費の支払確保する方法


養育費の支払い確保手段には、履行勧告、履行命令、強制執行といった3つの方法があります。


これらは、養育費の支払いが滞った場合に、裁判所に申し立てて養育費を支払うように促してもらったり、相手の財産を差し押さえて養育費を確保するものです。


しかし、裁判所を通して半ば強制的に養育費の支払いを受けることで全ての事案が解決できるわけではありません。そこで、この記事では、養育費の支払いを確保する最も効果的な方法を解説していきます。

強制執行すれば間違いない?

強制執行すれば間違いない?

養育費の支払いが滞ったら強制執行して相手の給料を差し押さえればいい!このように考えるのであれば、いざとなったとき強制執行できるように調停調書をとっておく、公正証書を作成しておくといった方法が思い浮かぶでしょう。


しかし、はたして強制執行すれば必ず養育費を確保できるのでしょうか?


例えば、相手が自営業者の場合、会社員と違って給与という概念がない為、給与の差し押さえをすることは出来ません。


仮に会社員であっても、勤務先や住所を変えている場合それらを調べるところからのスタートになります。


強制執行の手続きは地方裁判所に申し立てて行いますが、その際に必要な情報・書類をすべて揃えられたとしても、会社を退職すると給料の差し押さえが出来なくなることを知って、それを避けるため意図的に会社を辞めるケースもあるのです。

未払いを未然に防ぐ?

未払いを未然に防ぐ?

強制執行が全てのケースに対応できるわけではないことをお分かりいただけたと思います。


では、どのような方法であれば強制執行よりも効果的に養育費の支払い確保できるのでしょうか。


それは、養育費の未払いを未然に防ぐことです。


養育費は、子どもが健やかに成長するために必要なお金であり、子どもと離れて暮らす親は養育費を支払う義務があります。


それにもかかわらず、未払いが起こるということは何らかの原因があるはずです。


例えば、コロナの影響で業績が悪化し収入が減った、職を失った、病気で休業を余儀なくされたなどの理由があるかもしれません。


しかし、最も多いのは夫婦間の葛藤が大きいことが原因だと考えられます。


厚生労働省の調査によると、離婚時に養育費の取り決めを行った母子世帯は46.7%ですが、現在も養育費を受けているのは28%に留まっています。


養育費の取り決めは行わなかったが支払っているといったケースも加味すると、養育費の取り決めを行ったうち半数程度は支払われなくなっているといっても過言ではないでしょう。


養育費の取り決めを行ったからといって、養育費の支払いが確実に履行されると約束されたわけではないということが統計で明らかになっているのです。



出典:厚生労働省 令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147_00013.html

信頼関係を保つ

信頼関係を保つ

養育費の取り決めを行ったにもかかわらず養育費の支払いが滞る大きな要因は、夫婦間の葛藤が大きいことにあります。


例えば、信頼出来ない元配偶者に対して、子どもと会う機会を積極的に作ろうと思えるでしょうか。


離れて暮らす親側の立場で考えると、面会交流がなくなることで親としての役割を実感できなくなっていくのも理解できなくはありません。


面会交流を持てないことよって親である責任を忘れてしまい、親である責任を放棄してしまう、そういった状況になり得るのです。


一方で、面会交流を行える関係性であれば、離婚後も子どもと接し成長を見ることができるので、離れて暮らす親も子どもの親であることを自覚できます。


法律的には、面会交流を行う・行わないにかかわらず、離れて暮らす親には養育費の支払い義務があることに変わりありません。


しかし、養育親(子どもと一緒に暮らす親)が面会交流の機会を与えないことが養育費の未払いの一因であることは否めません。


これは、どちらか一方に原因があるのではなく、お互いがお互いを信頼するに足りない状態であることが問題です。


夫婦関係を解消する決断と、親子の関係・責任を全うすることは全く別問題だと理解し、互いに子どもの親であることを尊重し思いやりを持って接することが夫婦間の葛藤を小さくするのです。


互いに子どもの親として信頼できれば、子どもを預け(面会交流の機会を設けること)、また、養育費を託す(養育費の支払う)ことに対してネガティブな意識は自ずとなくなるはずです。

まとめ

まとめ

本記事では、養育費の支払いを確保する効果的な方法について解説しました。

法的な手段を選択しなければならなくなる前に、離婚後もお互いを愛する子どもの親として信頼できる関係性を保てるよう尽くすことが肝要です。

養育費は親が奪い合うものではなく、子どもの成長に必要なものであると互いに理解し、託す・預かる関係性を築くことが未払いを未然に防ぐ最も効果的な方法と言えるのではないでしょうか。